Home > 日々の思い > 「続 医師のあり方」

「続 医師のあり方」

先週のブログでも触れたのですが、入院して初めて癌に冒されていたことが分かった私の知人の女性が亡くなりました。

卵巣と大腸が癌に冒され、腹水にも癌細胞が見つかるなど状況は末期で、はっきり言えば打つ手も殆ど無い状態でした。最初に入院した病院では、癌の原発部位を確かめないと抗がん剤が使えないからということで、体力的に弱っていて今は検査を受けたくないと言っている患者を、医師が自分の論理で検査がどうしても必要だと説き伏せて強引に下剤を飲ませてしまったところまでは前に書きました。今は検査は嫌だという患者の意志を尊重して私が医師に電話をして検査の延期を要請したのですが、その後も患者の医師に対する不信感は変わらないままで、できれば転院したいという患者本人の希望を汲んで友人である新見正則先生(帝京大学医学部准教授)にお願いして練馬総合病院に転院することになったのです。

練馬総合病院は巨大な病院ではありませんが、全てに新しいシステムが出来上がり、医療技術もハイレベルでこの世界では高い評価を受けている病院です。患者を担当してくれることになったのは腫瘍内科の栗原直人先生でした。優しい話しぶりに患者の立場を良く理解して治療を進めようという医師の心が伺えました。患者も「転院出できて本当に良かった。これからちゃんと治って家に帰ることができるように頑張りたい」とまで言ってくれたのでした。

しかし運命は皮肉なものです。患者が戦う意欲を抱いたその時から容態は悪化し始め、時間の経過と共に患者は息苦しさを訴えるようになり遂に転院から4日危篤状態になり、5日目の未明に帰らぬ人となってしまいました。

癌は転移するだけ転移し最後は脳にも転移したようで、言葉も発せられなくなり、不随意運動で体が思わず動いていたとのことです。そしてその動きを繰り返すようになるなど患者が可愛そうだと思える状態となり、結局最後の時を迎えてしまいました。

でも、栗原先生は最後の瞬間まで懸命に手当てを施してくれました。「何としても治してあげたい、そう思って手を尽くすのですが思い通りにはなりません。そんな時、医師として無力感を覚えることもありますがそれに引きずられてしまうわけにはいきません。治療を待っている人に力を与えられるように私たちは頑張るしかないと思っています」と話してくれました。そして、「もう少し元気な状態に戻してあげたかった。心残りがあります。ご家族の皆さんの期待に添えなくて申し訳ありません」とも語ってくれました。

本当に純粋で誰に対しても心優しかった人の命が絶えて声を掛けても答えてくれない亡骸になってしまう人生は無常だなと感じさせられます。ただ今回私たちは患者を自分の家族だと思って何とかしてあげようと手を尽くしてくれる医師たちが居るということを目の当たりにすることができました。このような医師たちであれば何の心配も無く運命を託すことができるという実感を持てたのです。

専門家に聞いたところでは、ここまでのレベルに到達している医師はまだまだ多くはないとのことです。であれば、私たちの側があらゆるルートを使って何処にそういう医師が居るのかを調べることが必要なのだと強く感じた次第です。ただじっと受身の態勢で待つのではなく自らも積極的に動いて道を拓く努力をしなければならないのだとつくづく思いました。

Home > 日々の思い > 「続 医師のあり方」

フィード
タグ
写真
  • 12221502.png
  • 12221501.png
  • 03031502.jpg
  • 03031501.jpg
  • 10061401.JPG
  • 10061402.JPG
  • 08041402.JPG
  • 08041401.JPG
  • 03031401.JPG
  • 01291402.JPG
リンク

このページの上へ