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「医師のあり方」

近しい知人が病に倒れました。突然具合が悪くなって病院に担ぎ込まれたのです。お腹が痛い、息苦しい、排泄が上手くできないなどの症状でどうにもならなくなり、近所に住む友人が色々手配をしてくれて何とか入院できました。

そこでの医師の診断の結果は周囲の想像を遥かに超えて、卵巣がん、大腸がん、また腹水の中にもがん細胞が見つかったというのです。本人への告知はされておりませんが、進行度で言うとレベル「4b」、つまり末期で回復の見込みがほぼ無い状況だということでした。しかも余命については月単位というより週単位で考えるべきだというのがその家族に対する担当医師の説明でした。

それを聞いて私も大変驚きました。昔その知人の家に泊まると、朝は美味しいチーズトーストを沢山作ってくれて持て成してもらったことを今も懐かしく思い出します。何事につけても温かい心配りでその優しさが自然に心に伝わる素敵な人なのです。その人が不治の病に侵され、極めて重篤な状況に置かれているのは何と残酷な現実なのだという思いで一杯です。

辛いことですが、この人のために何をしてあげるのが最良のことなのかを考えていかなければならないと周囲は考え始めました。そこで本人の性格を熟知している家族は本人が受けるショックの深度を危惧し、本人への告知は当面控えようという結論に達し、その点は医師にもお願いしました。

すると、担当医師は先ずがんの原発部位が卵巣なのか大腸なのかを確定する必要があるので患者の大腸のカメラ検査を行いますと家族に伝えてきました。とはいえ、患者本人は腹水が溜まっているため呼吸をするのも辛いと訴えている状況を見ると今すぐ大腸検査をするのは却って患者の体力を消耗させるだけで得策ではないと考え、検査は暫く先に延ばして欲しいと看護師さんを通してお願いしたのです。勿論、患者本人も極度の疲労や苦しみから今はとても検査は受けたくないと強く言っていたことも考えてのことでした。

ところがそのようなお願いをしたにも拘らず、医師は家族のいない間に、家族の了解も得ず本人にがんの告知を行い、原発部位の確定を行わないと治療ができないので予定通り明日大腸検査を行いますと通告をしたのでした。

家族から連絡をもらい、説明を受け相談をされた私はすぐ担当医師に連絡を取り、何故依頼通りに延期してくれなかったのかを問いましたが、返事は要領を得ませんでした。患者も同意してくれたのでと繰り返すばかりです。埒が明きませんでしたが、とにかく今回は延期してタイミングを見て実施することにして下さいと要請して電話を切りました。後に聞きましたが、患者は飲まされた下剤の影響で一晩中トイレに通って辛かったということです。

不審に思ったこともあり、このままではいけないと考え翌日家族側と医師たちとの間で話し合いが行われました。

そこでは、家族の側からは患者第一で患者の気持ちを大事にして診て頂きたいということを切にお願いしました。医師の側もできる限り要望に沿うようにしますという見解が示され、双方の側にあった溝は少しだけ埋まったような気がしましたが心配が全くなくなったわけではありません。

実はこの時、私の友人でもあり担当しているテレビ番組「主治医が見つかる診療所」にも出演中で素晴らしい見解を何時も披露してくれる、帝京大学医学部准教授の新見正則先生に家族側のアドバイザーとして同席をお願いしていました。先生は第三者の立場で質問をしたり、双方の間をまとめたりなど本当に大きな役割を果たしてくれたため、家族はとても救われた気分になったのです。

病院には病院の事情、医師には医師の事情があるのは十分理解できますが、患者の心理状況や性格そして病状などの要素を総合的に精査して、できるだけ個々の事情に則したケース・バイ・ケースな対応をしてもらいたいと感じた次第です。

新見先生は信条として「患者さんを診るときはいつでもその患者さんを自分の親と思って接して下さい」と自分の学生たちには教えています。その言葉通り、全ての医師がそのような考えを持つようになれば今存在する問題はかなり良い形で解決できるのではと思うのですが、現実はまだまだそこまで至っておりません。新見先生の指摘で改めて医師のあり方について考えさせられました。

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