Home > スポーツ > 「北京オリンピックを振り返って5 勝敗を決める戦略」

「北京オリンピックを振り返って5 勝敗を決める戦略」

北京オリンピックで期待に応えられなかった種目の一つが野球でした。

星野監督は監督就任会見で「金メダルしか要らない」と述べて国民の期待感を煽ったのですから、例え簡単に金メダルを取れるとは思わなかったとしても、実際には金メダルに近付く闘いをしてくれるに違いないと考えた人が多かったのは無理からぬところでしよう。

日本チームの準備は念入りだったと聞いていました。外国チームの取材、情報収集には多くの人員を投入し出来る限りのデータを集めたようでした。勿論情報戦で後れを取るようでは話になりませんので、これは当然と言っても良いでしょう。更に監督首脳陣もどんどん海外に出ることによって外国チームの視察、戦力分析を徹底したと聞いていました。今までに無かったほどお金をかけて準備をしたわけですから、関係者の期待も大きくなったのも分かります。

ただ、星野氏、山本氏、田淵氏、で構成した首脳陣には当初から疑問の声が上がっていました。と言うのも3名とも六大学時代の同期生であり、プロに入ってからも親交の深い友人同士の組み合わせなので、「それぞれの役割分担がはっきりしたトリオではないではないか」「友達同士だけで本当に大丈夫なのか」という指摘が出てきても全く不思議ではなかったのです。

もっと深い突っ込みを入れる人からは「闘いには絶対に作戦参謀が必要なのにこれでは参謀不在であり、真っ当な闘いができないのではないか」と心配の声が上がっていました。でも、何時の間にかそうした懸念の声はかき消され、北京オリンピックへと進んでいきました。

予選リーグ戦の日本対韓国戦を取材に行ったのが8月16日です。この試合は緊張感のある投手戦で6回表まで0-0のまま、試合は進み、6回裏調子が中々上がってこなかった新井が韓国の先発金の投球を捉えて先制2ランを放ちました。ベンチの気勢も一気に上がったはずです。日本の先発和田は丁寧で時に大胆な攻めのピッチングで6回までは文句なしの投球でしたが7回には上位打線と対するので交代のタイミングが問題と誰もが考えていたに違いないのです。

しかしベンチは和田に続投を命じました。すると矢張り限界が来ていたのでしょうか、先頭打者にフォアボールを与えてしまいました。それでもベンチの指示は続投、そして李大浩に粘られた末度肝を抜かれるようなライナーの同点ホームランを打たれてしまったのです。

折角苦労しながら勝ちパターンに持ち込めそうだったのに、打つべき手を打たずに一転して韓国に勝利の流れを与えてしまう形になってしまいました。その後はもう皆さん御記憶の通り、9回には、前打席大ホームランの李大浩に送りバントを許したり、岩瀬が連打を浴びてプッシュバントを決められ阿部が無用の2塁悪送球をしたりするなど、乱れに乱れて自滅。反撃も及ばず、6-3で敗れたのでした。

後で明らかになったのですが、和田には6回まで頼むという指示があったそうですが、投球内容が余りにも良かったので、急遽7回もマウンドに行ってくれという監督からの要請があったということです。極度の緊張感の中で投げ続けた和田にはもう限界だったでしょうし、6回まで兎に角頑張り通せば良いのだと信じて投げ続けた精神状況に更に7回も行けというのは余りにも酷だったでしょう。

こうした継投策にも9回裏1点を返して尚、無死2、3塁のチャンスに何の策講じられず、相手を苦しめられないままゲームセットに至りました。一方の韓国ベンチは継投策も実に細かく5人の投手を使い、攻撃の面でも実に緻密な戦術を駆使して頑張り、明らかに両チームの間にはベンチワークに決定的な差があることが見えてしまいました。矢張り心配されていた作戦参謀の不在が露わになったということです。終わってみれば4位、上位3チームに対し、0勝5敗という成績が日本チームの弱点を物語っており、全ての闘いには戦略がなければならず、良き作戦参謀無しには、勝利への道筋は作れないということを改めて教えられた北京オリンピックでした。

Home > スポーツ > 「北京オリンピックを振り返って5 勝敗を決める戦略」

フィード
タグ
写真
  • 12221502.png
  • 12221501.png
  • 03031502.jpg
  • 03031501.jpg
  • 10061401.JPG
  • 10061402.JPG
  • 08041402.JPG
  • 08041401.JPG
  • 03031401.JPG
  • 01291402.JPG
リンク

このページの上へ