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「北京オリンピックを振り返って6 精神的なレベルアップが金メダルを掴む」

今回の北京オリンピックで日本選手団に関して特徴的だったのは、金メダルに輝いた人たちがアテネに続いて2連覇を飾ったケースが多かったということです。中でも、水泳男子100m、200m平泳ぎで共にアテネに続く2種目制覇の偉業達成の北島康介選手は4年間に人間がどのように成長していくのかを私たちに教えてくれる良き実例だと思います。

アテネで金メダルを取ったとき、インタビューに答えた喜びの声は、「超、気持ち良い」というものでした。それに対して、今回最初の100m平泳ぎで勝利を収めたときはマイクを向けられてもしばし沈黙があり、そして喜びの涙をタオルでゆっくり拭い一呼吸あって、「本当に嬉しいです」と言葉を繋ぎました。

アテネの時は勿論勝つだけの力も持っていましたが、本当の勝負の怖さまではまだ知らない若さのエネルギーが他の選手を圧倒したという印象もあったのです。それだけに、自分の気持ちだけを、ストレートに表現した言葉が「超、気持ち良い」というものだったと思います。

ところが今回のインタビューに対する答えにはこの4年間に体験した苦悩、辛さを反芻しながら自分自身の頑張り、苦境を越えてきた実感、そして自分を支えてくれた周囲への感謝、共に闘った他の選手たちへの気配りなど色々な要素が含まれていて、私には、とても好感の持てるインタビューでした。

アテネで頂点に立った後、もう一つはっきりとした目標設定ができないまま練習だけは続けるものの、調子を崩し焦れば焦るほど体も言うことを聞かなくなり、最大のライバルであるブレンダン・ハンセンに勝てなくなりもう駄目かもしれない、やめた方が良いのだろうか、という思いを持つほどまでになったそうです。でもそのポイントからの反発力が普通の人とは違うのですね。

名コーチ平井伯昌さんが北島選手のアスリート魂を刺激します。「北島の平泳ぎを完成させようよ」、自分を間違いのない方法論で導いてくれた平井コーチのその言葉にいつの間にか
北島選手は乗ってしまったようで、50mごとのストローク数をできる限り少なくしてエネルギーの消耗を減らし、大きな伸びやかな理想の泳ぎで距離の短い100mでも泳ぎ切ってレースに勝つこと、そこを目標に二人の鍛錬が始まりました。100mでは誰しも気持ちが急くのでストローク数が増え、腕の回転も速くなりがちですが、そこを慌てず大きな泳ぎでストローク数を減らして泳ぐには勇気が必要ですが、この子弟はその命題に取り組み、これこそ理想の泳ぎだという確信を持って北京に乗り込んできていたのでした。100mの予選を見た時ときにこれは北島の勝利間違いなしと確信しました。他の選手たちとは次元の違う泳ぎをしているということが見て取れたのです。

200mの決勝はさらに凄いものでした。スタートした時から、独りだけ大きなストロークで自分の平泳ぎはこういうものだということをアピールするように伸びやかな泳ぎを続け、他の選手との差をじりじりと広げていきました。北島選手の視界には他の選手は一切入ってこない感じで、独り無人の境地を行くというレースに見えました。他の選手たちは北島以外の選手たちと争うしかないというものでした。4年間のうちに圧倒的に他の選手たちとは違う領域にまでレベルアップを成し遂げた北島選手そして彼を支えた平井コーチ二人の努力に心からの拍手を送りました。

北島選手以外にも、柔道の内芝選手、谷本選手、上野選手、女子レスリングの吉田選手、伊調馨選手、がアテネと北京の2連覇を成し遂げました。皆北島選手と同じように挫折、怪我、精神的な悩みなどを乗り越えての2連覇で、それらは技術だけではなく人間としてのレベルアップがなければ辿り着けないゴールだったわけです。重厚味溢れる金メダリストが沢山誕生したオリンピックでした。

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