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「『世界連鎖恐慌の犯人』を読んで」

100年に1度の不況といわれる昨今。何故このような事態になったのかということについて分かり易く説明してくれる人に中々巡り合えなかったのですが、1冊の本を読んで大体の状況が分かってきました。その本とは今年の初めに発行されたばかりの堀紘一さんの「世界連鎖恐慌の犯人」(PHP研究所)です。

多くの経済評論家によるとアメリカのサブプライムローン問題が世界的金融不安の根源になっているということですが、具体的にどのような仕組みでそうした金融商品が商品化され世界中に出回っていったのかについて、そして何故世界中を震撼させることになったかについて、これまでのメディアの報道だけでは今一つピンときませんでした。ところがこの本ではその点についてとても理解し易く説明されているのです。

本書によると、グリーンスパン前FRB議長がアメリカの未来を過信し、金融市場に倫理性に裏打ちされた制約を加えられないうちに金融工学の天才たちが危険な商品を次々に作り出し、それが世界中に出回ってしまい結果として今日の状況を引き起こすことに繋がったということです。

もともと金融工学の人たちは地銀の顧客を3種類に分けて考えるといいます。すなわちそれは、(1)プライム、(2)オルトA、(3)サブプライムの3種です。(1)はお金を貸してもいい人たち。(2)は勤務先や年収などにやや難点はあるがとりあえず貸しても良いだろうという人たち。(3)は本来決して銀行がお金を貸してはいけない人たち、という具合に。サブプライムローンというのは(3)のサブプライムにお金を貸そうというのですから問題が起きないはずがないわけです。しかもその金利設定たるや最初の2年間は5%程度の低金利で3年目からは10%と倍に跳ね上がるというのですから順調に行くはずがありません。しかもサブプライムローン成立の前提は不動産価格がこれからも上がり続けるというものですから何をか況やという感じがします。

更にこのサブプライムローンや企業版生命保険ともいうべきCDSジャンク債、公債などたくさんの金融商品を盛り込んだデリバティブがCDOと呼ばれるものでこれがまた今後大問題になってくるのではと心配されるそうなのです。こうした欺瞞性の高い商品を大量に創り売り歩いていたのはインベストメントバンクであり、そのインベストバンクを産み出した金融資本主義世界の崩壊も自然の流れだという見方は非常に説得力を持ちますし、こうしたアメリカ流の金融資本主義と訣別して知恵と汗の結晶で価値を作り出す産業資本主義的な社会に転換していく方策をわれわれ日本は世界に提示していく必要があると堀さんは強調しております。

また、堀さんは次のように訴えます。優れた理科系の人たちは本当に頭が良い故に理詰めで考えを突き詰めていくと原爆や水爆といったものまでも創り上げてしまうこともあります。従ってそこには常に人間性を尊重し倫理を踏み外さないという制約が必要になってきます。少なくとも真っ当に生きている人たちが悲劇の中に落とされてしまうような商品を創り出してはいけない筈です、と。金融の世界も人間が運営している以上はその中に人間らしい血が通うものでなければならないのだという指摘に強い共感を覚えました。こうした堀さんのような考えが日本の経済政策の中にどんどん取り入れられていくべきだと思うのですが、理解できる政治家は少ないかもしれませんね。

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