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「オリンピックを開催することについて」

  • Posted by: 草野 仁
  • 2009年10月14日 16:57
  • スポーツ

コペンハーゲンで開かれたIOC総会で東京が落選してから既に10日ほど過ぎましたが、敗因について石原都知事は「昔の自民党総裁選挙のように目に見えないところで不明朗な力が働いて結果が決まったように思える。ブラジルがアフリカ諸国にリオデジャネイロに投票して貰うことを条件に経済援助の働きかけをしたといった話もある」などと話し、東京のプレゼンテーションは最高だったのにと語るばかりで反省点の洗い出しには至りませんでした。

やはり東京にとって説得力を欠いた最も大きなポイントは開催地での住民の支持率がIOC調査で55.5%しかなかったというところにあったのではないかと思うのです。1964年に東京オリンピックが開かれたとき、日本は池田内閣のもと所得倍増政策がとられ、多くの国民が未来に大きな期待を抱いていました。そして敗戦の苦しみを乗り越えて頑張って世界最大のスポーツの祭典を自分たちの手で開くことができるのだという高揚した気持ちで、当時の印象では90%を超えるくらいの支持に裏打ちされていたように思います。

しかし今回は周りの誰に聞いても、開催することのメリットは認識していても、どんな困難を乗り越えてでも開催しなければならないとか、今やらないとだめなのだといった思いに溢れている人はそれほど見受けられませんでした。自分自身も2016年にどうしても東京でやらなくてはならないという気持ちにまでは正直至りませんでした。他の3都市が80%を超える住民の支持を集めていることと比較すると、そこからは開催への燃えるような情熱が感じられません。これでは投票権を持つIOC委員に対してアピール力が弱かったのは致し方が無かったと思います。

勿論、他の都市に勝る要素としてコンパクトでエコを考えてのさまざまな工夫がなされていることなど優れた点もあったのですが、それだけではいの一番に東京というわけにはいかなかったですね。やはり、もっともっと早くから都民や国民に東京でやることの意義、経済効果、若者に与える精神的な効果などをどんどん情報発信してPRすべきだったと思うのです。都政に関る一部の人たちだけが認識しているだけでは、都民の意欲は燃え上がってくるはずもありません。オリンピック招致大使として萩本欣一さん、古田敦也さん、クルム伊達公子さんが出演しているPR映像も何回もテレビ上で拝見しましたが、もっと多くの各界各層の有名人が同じく将招致大使として出てこられればPRの印象も随分違ったような気がします。

次のチャンスがあるのか否か現時点では分かりませんが、今回の招致活動には反省点は多かったと思います。と思っていたところに広島と長崎が核廃絶を目指して2020年のオリンピックに共同開催を検討しているという発表がなされました。確かに、核廃絶をアピールしたアメリカのオバマ大統領がノーベル平和賞を受賞したその流れを考えて世界の注目支持を集めようという思いが両市にあったのは良く理解できるのです。ただ、オリンピック憲章では開催地は一都市と限定されていて共同開催は認められていない実情もあります。しかも長崎、広島は新幹線特急乗り継ぎで4時間もかかるほど離れています。宿泊施設の数にしても、財政基盤にしても、いざ開催となれば大きな課題が山積するものと思われます。現実的に見れば開催実現までの道のりは遠いような気がしてなりません。

今の核廃絶への雰囲気をより強いものにしたいという両市の市長の思いは理解できますが、核廃絶だけに限定することなく幅広いテーマを掲げて、世界中の多くの人たちが納得し、特例的な扱いをしてでも開催させてあげようではないかという声が溢れるような戦略が理想的ではないでしょうか。その意味ではいささか拙速な面も見えたような気がします。今回の共同開催の意思表示に対してIOCの幹部からは共同開催はありえないという反応が早くも出てきました。やはり、核廃絶への気持ちをオリンピックだけに限定しないで別の形でも盛り上げる方法を考えていくことも大切ではと思った次第です。

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