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「『野球は人生そのものだ』を読んで」

  • Posted by: 草野 仁
  • 2009年11月22日 19:13
  • スポーツ

先日京都に行ったときに、駅の書店に入ると長嶋茂雄さんの「野球は人生そのものだ」という本が目に入りました。表紙には長嶋さんのあの素敵な笑顔があって、本を手にした人に「野球は人生そのものなんだよ」と話しかけているように感じられるものだったので、私はすぐにこの本を買いました。

本書は長嶋さんが日本経済新聞に2年にわたって連載した「私の履歴書」に大幅に加筆してつい11月10日に出版されたばかりの本でした。私自身も少年時代長嶋選手に憧れて育ち、NHK時代にはスポーツアナウンサ―として長嶋さんを取材した体験があるので、長嶋さんの大まかな野球人生についてはある程度のことは知っている心算でいました。ご本人の目を通してこれまでの野球人生を語って下さるのに私もお伴をして、もう一度長嶋さんの生き方を一緒に振り返るのもまた楽しいことだろうなという少し軽い気持ちでこの本を手にしたのでした。

読み始めると過去の名場面、名勝負にぐいぐいとひきつけられて行きました。そして長嶋さんが選手としてまた監督として何時も胸の中に刻み込んでいた思いがダイレクトに伝わってきて、こんなにも深いそして強い思いを胸に野球を続けてこられたのだということがとても良く理解できた気持ちになり、改めて長嶋茂雄という人の存在の大きさに感動したのでした。

砂押監督の指導を受けていた立教大学の学生時代から、長嶋さんは将来プロ野球でプレーするときのことを想定してどうしたら観客が満足してくれるか、喜んでくれるかということを真剣に考えていたということで、これは長嶋さん以外の選手には恐らく無かったことだと思います。今にして思うと三遊間のゴロをダダッとダッシュして捕球し、矢のようなボールを一塁に送る、その一連の動きは流麗且つ豪快でほかの誰にも真似できるものではありませんでした。また、チャンスで打席に入るとき、バッターボックスの手前でもの凄く豪快なスウィングを2回3回と繰り返して観客の期待感を煽り、打席に入ったらその期待通りに快打を放つ。時に凄い空振りをしてヘルメットが飛ぶということもありましたが、実は被っていたヘルメットはアメリカ製で、頭の形が外国人仕様ということで後頭部の部分が1cmほど自分の頭より長く、猛スウィングをすると頭からヘルメットが抜けて飛ぶようになっていたのだそうです。空振りをしたときでさえ皆が凄いと感心し得くれるように打ち、投げ、走る、全てのプレーが観客を喜ばせ、観客を満足させるためだったというのですから長嶋さんは正に不世出のプレイヤーなのだと思います。

さらに驚くのは、砂押監督を通じて手に入れたジョー・ディマジオのバッティング分解写真などを参考にして、大リーグの名選手たちは腕や上体の力でボールを遠くに飛ばしているのではなく腰の回転で素晴らしい打球を放っている、ということを見抜いてそのようなスウィングを意識しながら練習していたそうです。

大リーグで彼らに負けないプレーをしたいという強い思いをずっと抱き続けていたということですから、半世紀以上前に本格的大リーグ挑戦を日本で最初に考えていた野球選手ということになりますね。巨人軍の事情で勿論それは実現しませんでしたが、長嶋さんの野球を見据える先見性には敬服するしかありません。とにかく、どこを取っても緊張感に満ちたすばらしい筆力で描かれたこの書は必読に値するものと感じました。読み終えて私の長嶋さんに対する思いはこれまで以上の深い尊敬の念へと昇華しました。

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