聖火ランナーとして走ってきました②

いざ、出発式!
たくさんの人たちの拍手で見送られ専用のバンにランナーが乗り込み、コレクションポイント(走る位置)まで向かいます。

ちなみに、すんなりとコレクションポイントまで行けるわけではありません。
というのも、聖火が走るコースを、広報車両のパトカー、警察機動隊車両、オフィシャルスポンサー車両、スタッフ用車両、報道・記者車両、交通規制を解除する警察車両と、合計で32台も通るのです!
一言でいうと、まるでディズニーランドのエレクトリカルパレードです!
特にオフィシャルスポンサー車両では各スポンサーごとにMCがいて、大音量の音楽と盛り上がるスタッフがいるのでとにかく『明るい!賑やか!華やか!』そりゃ盛り上がってしまいますよね!の言葉しか見つかりません!
なので出発までに時間がかかるのです。

聖火ランナー全員が同じ空間にいるのですが、皆初対面の方々です。しかし、以前より知っていましたっけ?というくらい自然に打ち解けて話しができました。
いわゆる「ワンチーム」となっていました。オリンピックが人と人とを繋げてくれるを実感できたのです。

さて、いよいよ第1走者が出発!

聖火が出発すると、隊列はゆっくりと動き出します。
私は21名中、7番目を走行します。
専用のバンがコレクションポイントになると止まり、スタッフから聖火トーチを渡され、バンなら中にいるこれから走るランナーから拍手で見送られます。

自分の番が近づいてくると、ワクワクであった感情はドキドキに変わります。

そして出発地点に到着。
中山秀征さんより、グータッチで見送られいざ、トーチを持ち下車。

降りると、応援に駆けつけてくれた方々がいてくれました!

ここで、私の中で変化が起こります。
「???あれ??」
そうです。今にも泣き出しそうなのです。
というより、泣いていました。

(ここから内田翔の心の中でのやりとり)
「待て待て、どうした?感極まったか?まだ早いだろう。いやいや、泣いてないだろう。冷静になれ!まだトーチ持って、車から降りただけだろ!
あ!そうだ!ドライアイだからちょうどいい!風が強いってことにして、ドライアイということにしちゃおう!」

なんでしょうか。不思議な瞬間に捕われました。
同級生もいたので、写真撮影をしたり、子供たちにトーチを持ってもらったりと平常心を保つことに成功!(成功というのかわかりませんが、平常に戻れました)

私の前を走る方の聖火が見える頃になると、より周囲は盛り上がりを見せます。

(再度ここから心の中でのやりとり)
「ドキドキ。あれ??おいおい、待てよ。またか?どうした涙腺。さっきまで平常だったじゃないか。そうか!風が強いのか?ドライアイだからか?」

スタッフ
「まもなく聖火が到着します!トーチにガスを注入します。こちらまでお進みください。」
誘導され、前走者が到着。
トーチキス(トーチとトーチを合わせること。聖火を繋ぐ作業。)をしてトーチに聖火が灯りました。

とても暖かい。
これが聖火。
アテネで灯された火を今自分が受け継ぎ、手にしている。

はい。涙腺崩壊です。
もう諦めて、思う存分楽しみながら思いっきり泣いてやろう!と思いました。

走りながら沿道の声援に手を振りできる限りの笑顔で応えつつも、涙で前がよくわかりませんでした。(並走してくれているスタッフが誘導してくれるのでしっかりと走れました)

次の走者へ聖火を渡すと、寂しい気持ちと、やり切った気持ち、スッキリした気持ちが交錯しました。

走行後は、家族や親戚、友人たちが集まっていてくれたので写真を撮りました。
すぐに、回収車が来たので会話は覚えていません。
ただ、我が子には『カッコいいパパ』を見せられたのではないかと思います。

その後は、バスの中で走ったランナーを迎え入れ、スタート地点に戻り、解散式をして、終了。

あっという間に終わったイベントでしたが、オリンピックに行くために人生をかけてきたことを思い出したら、聖火が灯った瞬間に感動して泣いてしまいました。

現在はコロナ禍で思い描いた行動はできませんが、スポーツの力で世界を笑顔にしたいですし、笑顔の輪を広げていって世界中を元気にしたいと思いますし、私にはそれができることを確信しています。

涙は流しましたが、笑顔で聖火を繋ぐことができました。

自分にとって大切な1日となったことは間違いありません。

感謝とともに、これからの日々を堂々と生きていく!
これこそが自分を育ててくれたオリンピックへの恩返しです!!

さて、水泳の日本選手権(オリンピックトライアル)も始まりました。
このことについても書きますので、、お楽しみに♪

Smile
Sho Uchida