- 2011年5月 9日 16:12
- スポーツ
世界的名ゴルファーのセベ・バレステロスさんが脳腫瘍のため54歳の若さで亡くなったという悲しいニュースが飛び込んで来ました。
セべ・バレステロスさんについては忘れられない思い出があります。それは私がまだNHKでスポーツ放送を担当していたときのことでした。1977年千葉県習志野カントリークラブで行われた日本オープンゴルフ選手権の中継でラウンドリポートを命ぜられ、有力選手の取材に奔走していたとき、練習場でスタートぎりぎりまで練習を続けていたのが初来日のセベ・バレステロス選手と日本が誇る青木功選手でした。バレステロス選手は前年19歳で欧州ツアー優勝。そして欧州ツアーの賞金王になって、20歳の若さで日本オープンにチャレンジしてきたのです。
少し早く練習を終えた青木選手がセベ選手の方を見るとまだ5球ほどボールが残っていました。歩み寄った青木選手が人懐こさを発揮して「セべ、ユーギブミーワンボール。アイギブユーワンストロ―ク」つまり残っているボールを一つ貸してくれたら君にワンストローク譲るよとジョークで話しかけたのです。
それに気付いたセベ選手は思わず吹き出しながら「ノー、ノー」とやんわり断って残りの5球を打ち終えたのでした。片言の英語でぐんぐん人の輪の中に入っていく青木さんの「人間が大好き」という姿勢と若々しく生真面目なセベ選手のやりとりが今でも生き生きと甦って来るのです。
セベ選手はこの時、堂々と日本オープンを勝ち取り翌年もいとも簡単に2連勝を飾りました。マスターズ2回、全英3回優勝。欧州ツアー50勝、米ツアー9勝、全世界で91勝を挙げた彼のゴルフはとにかく豪快そのもの。ドライバーは曲げてもアイアンで奇跡的なショットを放って勝つという魅力溢れるものでした。顔もハンサムで体形も美しい。真面目で余り欠点が無いように見えたそのセベ選手に病魔が忍び寄っていたとは何とも悲しく、残念な訃報でした。
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