- 2013年9月30日 13:32
- 日々の思い
いよいよ今年も残りあと3か月となりました。
ところで明日10月1日火曜日、小学館新書から「話す力」というタイトルで私の新著が発売されます。
私たち日本人が話し言葉を使って自分の思いが理解されるようにと思ってする「話す」という日常的な行動は、満足のいくレベルに到達できることが意外に少なく、むしろ「もっと上手に言うべきだった」とか「もっと理解されるような表現ができなかっただろうか」などいった反省をすることが多いのが現実だと思います。
歴史的にみても欧米のように古くから修辞学のような学問があったわけではなく、日本には独特のコミュニケーション文化が育まれてきた事情もありますが、今日の国際化された時代においてはもはや「話下手」だからという弁解は通用しなくなってきていると思います。ではどうしたら自分の考えていることを周りの人たちに正確に伝えられるようになるのか、そのことについて認めたのが本書です。
決して難しいことではありません。結婚式でのお祝いのスピーチ、PTAの会合での意見、また会社のプレゼンなどといった機会は誰にでもやってくるはずです、そのときに自分で話す内容を練り、どのような表現を使い、どのような言葉でアピールするのかについて真剣に考え、エネルギーを費やして取り組んでみましょう。ひとたびそれが習慣になれば、少し時間はかかるものの、次第に表現は上達し、周囲の人たちにより良く理解されるものに変わっていくものです。
私自身が自信を持ってそう言えるのには理由があります。大学を出てNHKに入るとき、私は取材記者になるつもりで入社試験を受けました。でもどういうわけか「アナウンサー」として採用される羽目になったのです。
本当に困りました。何故なら自分は長崎の田舎の出身で、人前で話をすることなど決して好きではなく、そんな仕事が務まるはずがないと思い込んでいました。ところが就職試験を一つしか受けていなかったため、無理だとは思いつつも結局はNHKのアナウンサーとして社会人生活をスタートすることになったのです。
なりたての頃、言葉のアクセントやイントネーションなどを克服するのに苦労はありましたが、いざ始めてみると、話すことに工夫をすればするほどより相手に伝わるものになっていくことを感じ、とてもやりがいのある仕事だということに気が付きました。楽ではないのですが、充実感を持てる仕事であると思えるようになり、前向きに進むことができました。
標準語一つ満足に話せなかった人間がこのように皆さまにお話しをして情報をお伝えする仕事を何と46年も続けてくることができました。と言うことは、誰でも少しずつ工夫をし、努力を重ねていけば、必ず話し上手になれるということです。私自身の体験がそのことを証明しています。
この本をお読み頂き、ノウハウを掴んで頂けましたら嬉しいです。是非皆で話すことの楽しさを語り合いましょう。