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2013年8月 Archive

「世界柔道」

リオデジャネイロで行われている世界柔道選手権で日本男子の活躍が光ります。開幕して最軽量級からの3連勝は1973年ローザンヌ以来40年ぶりということで快進撃と言って良いでしょう。

先ず60キロ級で初出場の高藤直寿選手が4試合のうち3試合で1本勝ち、決勝でも攻めに徹して優勢勝ちを収め、金メダルを獲得して勢いをつけました。このクラスの金メダルは1997年の野村忠宏選手以来です。そして高藤選手は井上康生監督の高校、大学の後輩で20歳、期待の若手です。

続く2日目、66キロ級の海老沼匡選手が初戦から5試合連続1本勝ちで決勝に進み、決勝戦の試合中にカザフスタンの選手の反則とも思える左腕への攻めで左腕を痛めながら、残り1分で大内刈りを決めて見事大会2連覇を飾りました。

そして昨日、73キロ級で大野将平選手が順調に勝ち進み、準決勝でベルギーの選手に綺麗な大外刈りで1本勝ち、決勝でもフランスのルグランと対戦して立ちあがりに有効を奪い、2分33秒跳ね腰で1本を決めて堂々と優勝。反則勝ち2試合を含めて6試合オール1本勝ちという見事な内容でした。

ロンドン五輪で壊滅的な状態になった日本男子柔道ですが、井上康生新監督が選手たちにじっくりとモチベーションを高める話をし、それぞれに相応しいキャッチフレーズ(例えば大野選手には「お前の時代を作れ」と激励)を与えることによって精神力で相手に負けないという自負心を抱かせていることが成功しているように思えます。それが証拠にここまでの3人は他のどの選手よりも勇敢で、強靭な精神力を持っていたように見えるのです。

流石に4日目はメダルには手が届かなかったようですが、井上康生監督の今後の指導ぶりには注目したいと思います。

「素晴らしい快挙」

イチロー選手が4000本安打の大記録を打ち立てました。実質的にほぼ20年で成し遂げたのですから1年に平均して200本ずつヒットを打ち続けたことになり、これは誰にも真似できない快挙と言わざるを得ません。多くの人たちが指摘しているようにまず、プロになってからこれまで故障らしい故障をしたことがないということが注目に値します。これは自分の肉体のケアにいかに彼が気を配ってきたかを証明するものです。ストレッチ、準備運動、を徹底していることは周知の通りですし、打席に入る時も必ず屈伸をして、思い切り内股を絞って構えます。つまり内転筋をしっかり体に意識させてバッティングに臨むのです。明らかに他の選手たちとは異なるルーティンワークを持続させてきたことがそれを支えているのだと感じます。これからもどこまで数字を伸ばせるかに注目したいものです。

ところで4000安打についてさまざまな見方、捉え方があるようですが、イチロー選手は日本での活躍期間も長いので、大リーグ記録と一概に同列に扱おうとするとどうしても議論が分かれてしまいます。確かにピート・ローズ選手は4256本の安打を大リーグで打ったのであり、タイ・カッブ選手も4191本の安打を大リーグで打ちました。とはいえ、イチロー選手は大リーグだけでも2722本の安打を打っているのですから、それだけで負けず劣らずの大打者だということが分るので十分ではないでしょうか。ピート・ローズ選手やタイ・カッブ選手とどちらが上かとかいう議論になると時代と環境が違うものでもあり、あまり意味の無い比較論になってしまいます。どちらも同じくらい偉大だという認識でよろしいのではないでしょうか。

「世界陸上」

世界陸上が始まりました。初日からボルト選手、ガトリン選手、桐生選手、白人唯一人の9秒台ランナーであるルメートル選手たちの走りを見ることができて満足です。

桐生選手、スタートは良かったのですが後半力みが出て10秒31で落選。惜しかったのは山県選手で10秒21を出しながら準決勝進出を逃してしまいました。二人とも素晴らしい要素を持っているランナーなのですが、さすがに世界のトップクラスと比べるとエンジンが違うという感じがします。

60メートルくらいからの加速については、ボルト選手などは飛び抜けた強さを持っています。持って生まれた身体能力の高さとそれを磨きあげてきた鍛錬の凄さ、そこに他の追随を許さない秘密があるように思えます。

また、10秒を突破できるかどうかについても大きな壁の存在を感じずにはいられません。1968年にジム・ハインズ選手が9秒台に突入して以来、80人以上のランナーが9秒台入りを果たしていますが、これまでのところほぼすべて黒人選手です。白人選手では2010年にフランスのクリストフ・ルメートル選手が初めて9秒台を記録するまで一人も9秒台を出せなかったのです。

ローマ・オリンピックでドイツのアルミン・ハリー選手が10秒00を出してから壁突破までに50年を要しました。何か不思議な壁が間違いなくそこには存在するようです。ということは桐生選手の10秒01という記録を見て「ああ、これは9秒台も近い」と誰もが感じたでしょうが、すぐにその快挙が見られるのかということについては、案外まだ時間がかかるのかもしれない、と思えてします。

ライバルとしては、中国の張選手が今回の準決勝で10秒00を出して(日本の伊東浩司選手のアジア記録と並びましたが)、なかなか切れる走りを見せていました。これからアジア人で最初に10秒の壁を誰が突破するのか、興味が尽きませんね。   

「ファーストオーサー」

今年は忙しくてなかなか競馬をゆっくり楽しむ暇がないせいか、もう一つ気持の中で競馬熱が盛り上がって来ません。愛馬もぱっとしない成績で気合が入らないのです。

先週もエスターブレは小倉に登場しましたが、見所全くなく7着でした。調教師からは、「夏なのに全く飼い葉が上がったりせず、元気一杯です。良い競馬ができそうです」という報告があったのですが、いざ実戦になると後方を付いて回って直線内を突いて一瞬上がりかけたものの、最後は前が閊えて7着。何とも歯がゆいレースぶりでした。乗り方もできる限り好位置につけてとお願いしたのですが全く残念でした。思い通りにならないのが競馬ではありますが...

そんな中嬉しかったのは馬主仲間でもある石橋英郎さん(バシケーン号で中山大障害を優勝)の2歳馬ファーストオーサー号が2戦目の未勝利戦で後方一気の決め脚を発揮して優勝したことです。今年のブリーズアップセールで買われたアルデバラン産駒の牡馬です。新馬戦では出遅れてレースにならなかったのですが、調教はとても素晴らしいタイムを連発していたので必ず走ってくると思っていました。何と2戦目で見事な変わり目を見せ快勝です。13人気での勝利、馬券は凄い結果になりました。感激してレース後すぐに石橋さんに電話して喜びを分かち合いました。

「やはり野球は面白い」

先日4日(日)、巨人対阪神戦をテレビ観戦してやはり野球は面白いなと感じました。

巨人の先発は9勝2敗と巨人投手陣のローテーション入りを果たして新人王を目指す菅野投手です。体幹がしっかりしている体つきで、新人とは到底思えない常にマイペースで打者に向かって投げ込んでいく投球ぶり。しかも落ちる変化球を上手に操って続けるピッチングはベテランかと見紛うほどのものです。

一方、巨人戦初登板の藤浪投手はここまで6勝をマーク。これまた高校卒の新人としては期待に違わぬ投球を見せている野球ファン注目の投手。経験の上でやや菅野投手有利かと思いながら見ていたのですが、何とこの日の藤浪投手はほとんど隙の無い投球を見せていきました。

立ちあがり1点を失った菅野投手でしたが、2回以降は立ち直り、投手戦の様相です。我慢比べとなったこの試合6回まで踏ん張り通したのは藤浪投手でした。一方の菅野投手は7回に味方内野陣のエラーなどもあり、珍しく打ち込まれてマウンドを降りました。

結局、藤浪投手が勝ち投手となり、7勝目。内容のある乱れの無い安定した投球が光りました。菅野投手は悔しさを覗かせながらベンチに下がりましたが、「藤浪投手にとっても苦しい試合だと思ったが良く踏ん張りましたね。また彼とは投げ合いたいです」と雪辱を果たしたい気持を滲ませたコメントを出していました。

前にも書きましたが今年は若い投手たちの活躍が目につきます。この二人の他にも、12勝を挙げているルーキー、ライアン小川投手、またパ・リーグでは9勝の新人、則本投手など色々なタイプの新鋭投手が活躍していてこれからも楽しみですね。

「レストラン日本」

先週ニューヨ―クに行ったのにはもう一つ理由がありました。それは倉岡伸欣さんが経営する「レストラン日本」がこの8月で創業50周年という素晴らしい節目の年を迎えるのでお祝いをしたいという思いがあったからでした。

「レストラン日本」の存在を知ったのは2006年の夏に松井選手の取材をしたときで、彼の行きつけの日本料理店がこの「レストラン日本」だったからです。彼が良く注文するメニューを私も味見してみましたが、これがどれもこれも本当においしかったのです。さらにそのとき、「松井選手のお母さんのカレー」という一品をご紹介頂きました。これは松井選手が小さいときから大好きだったお母さんのカレーを再現すべく、彼のお母さんからレシピをもらってレストラン日本で作られたもので、私も頂きましたが凄く気に入った思い出があります。

倉岡さんは慶応義塾大学を卒業してアメリカに留学、色々な体験を積まれて50年前ニューヨークに日本料理店「レストラン日本」を開業されました。当時は日本食のお店など殆どなく、日本から派遣された商社の人たちは食事もままならない状況だったといいます。そこで彼らに美味しい日本食を味わってもらって思い切り良い仕事をしてもらおうと考えて開業することにしたのだそうです。

しかし始めてみると食品業界やレストラン業界の現実に直面し、大変な苦労を重ねたそうです。でも負けじ魂は人一倍。一つ一つ壁を乗り越えて前進し、やがてその存在が注目されるようになり、現在では幅広い人種的民族的バックグラウンドを持つ人たちを雇用して業界でも高い評価を受けるようになり、今年50周年記念の日を迎えることになりました。

驚くのは、倉岡さんは今日もよりよい食材を求めて世界中を渡り歩いています。そば一つを作るのにもカナダに畑を買ってそばを栽培することから始めました。そこはかつて痩せた土地で大変だったようですが土地改良を進め、より良質のそばを作り出すことに成功しました。さらに日本中のそばの名店を回って美味しいそばの打ち方を研究。とにかくやり始めたら極限まで到達しなければ気が済まない性格で、お客様サービスの徹底に打ち込んできました。

その生き方が次第に高い評価を受けて、新しい駐日大使に決まったキャロライン・ケネディさんや故マイケル・ジャクソンさん、ブルームバーグ市長に支持され、今や政界からショービズに至るまで著名なアメリカ人までも集う場所にもなっているのです。あらゆる苦労を乗り越えてここまでのお店を作り上げられたその御努力には本当に心から敬意を表したいと思います。

「松井秀喜選手引退セレモニー in N.Y.」

先週末久々にニューヨークに行きました。勿論松井秀喜選手の引退記念セレモニーを見るためです。

セレモニーの前日、マンハッタンのステーキ店で食事をしていると、若い日本人女性が「草野さんですね」と声をかけてきました。「そうです、松井選手の引退記念試合を見るためにやって来ました」と答えますと、「あぁ、やっぱりそうだったんですね。実は私たちもそうなんです」と近くの席にいる同伴者を指しながら嬉しそうな表情を見せていました。ということは同じ思いで日本からニューヨークにやってきた人が他にも相当いるのだろうと感じました。

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28日の現地の天気予報は雨が降りそうということでしたが、ヤンキースタジアムに行ってみると入場券を求める長い列が既に出来ていました。予想した通りその中に日本人のファンの姿が結構多く見受けられました。

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さて試合開始30分前からセレモニーが始まりました。まずバックスクリーンの大画面に松井選手の7年に渡るヤンキースでの大活躍シーンが次々に映し出されます。最後に2009年のワールドシリーズでの獅子奮迅の活躍でMVP獲得の瞬間が映し出されると球場は最高潮に達します。更にこの日の午前に行われた松井選手とヤンキースの一日契約の調印式で契約書にサインする松井選手の姿がアップになりました。

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引き続き、ホームプレート前に置かれた机で松井選手とオーナーのハル・スタインブレナーさんが契約解除の書類に署名して松井秀喜選手がヤンキースの選手として大リーグを正式に引退したということになりました。ヤンキースに多大な貢献をした松井選手の大リーガーとしてのキャリアを最高に重んじてあげようというヤンキース球団の温かい配慮なのです。そして日本から駆け付けた松井選手のお父様、お母様、お兄様が紹介されて入場し、お母様が花束を松井選手に贈るという感動的な展開。

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更に最高の盟友ジーター選手が大きな額に入れられた背番号55番のヤンキースのユ二フォームを松井選手に送りました。スタジアムは大興奮、そしてジーター選手、黒田投手を初めとするヤンキースの主力選手たちが松井選手に祝福の握手を求めて、場内は割れんばかりの歓声の中セレモニーはフィナーレを迎えました。

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勿論その後は松井選手の始球式で対レイズ戦が始まりました。

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それにしてもプレーヤーとしては勿論それ以上に一人の人間としてチームメイト、球界関係者そしてファンからこれほど人間性を評価された選手はこれまでにいませんでしたし、今後もなかなか松井選手ほどの選手は出て来ないのではないかと思います。取材者の一人として松井選手の存在を本当に誇らしく感じます。

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